金融・融資法務

外資企業の外債借入限度額は投資総額と登録資本金の差額


 「合資企業法実施条例」第17条の規定に「合弁企業の投資総額(企業の借入金を含む)は、合弁企業契約、定款に定めてある生産規模に従って、投資に必要とする建設資金、生産・運転資金の合計とする。」と定義している。第18条第1項の規定に「合弁企業の資本金は、登記管理機関に登記した資本総額であり、双方の出資額の合計である。」と定義している。つまり、投資総額には登記資本金だけではなく、流動資金、銀行からの借入金も含まれる。もちろん外債も含まれるのである。


 「外資企業法実施細則」第19条の規定に「外資企業の投資総額とは、外資企業設立に必要な資金総額、即ちその生産規模に応じて投入する必要がある基本建設資金及び生産流動資金の総額をいう。」と定義している。第20条の規定に「外資企業の登録資本とは、外資企業を設立するために工商行政管理機関に登記する資本の総額、即ち外国投資家の払い込むとしている全出資額をいう。」と定義している。


 国家工商行政管理局が「中外合弁経営企業登録資本と投資総額比例の暫定規定」第3条に投資額と資本金に関して規定してあり、次のリンクから参考:中国投資の登録資本金と投資総額の比率に対する規定

 第6条の規定に「中外合弁経営企業及び外資企業の登録資本と投資総額の比例も本規定に従って執行しなければならない。」と規定されている。


 「外債管理暫定方法」第18条に「外資企業が対外的に負った中長期債務の累計額は、投資総額と登録資本金の差額内に納めなければならない。外資企業は、差額範囲内で外債を借りることができる。差額を超えた場合は、審査部門がプロジェクトの総投資額について査定を行う。」と規定している。

 

 中長期外債とは還付期限が1年以上である債務をいい、短期外債は還付期限が1年以内であるものをいう。外資企業が外債を借り入れる場合、審査が不要だが、投資総額と登録資本の差額内でのみ外債を借り入れることができる。その額を超えて外債を借りる場合は、商務局で投資総額および登録資本の変更を行わなければならない。その手順としては、商務局の許可、工商局および外貨管理局の登録が必要である。


 国家外貨管理局で発表した「外資企業資本項目の決済審査及び外債登記管理業務の改善に関する通知]([2004]42号)第3条に「外資企業が中長期の外債を借りる際の累計額と短期外債の残額の総額は、投資総額と登録資本の差額内に納めなければならない」と規定している。

 

 外資企業が投資総額と登録資本の差額を超えて外債を借りた場合、元の批准部門で投資総額の変更許可を得ない限り、外貨管理局はその超えた部分について外債資金の登記及び決済手続きの許可をさせてはいけない。万が一外資企業に既に規定されている額を超えた外債資金が振り込まれた場合、企業自ら元の批准部門で投資総額の変更手続きをし、外貨管理局は規定額を超えた分について3ヶ月間保留する。

 

 その期限が過ぎても投資額の変更手続きをしていない場合は、外貨管理局が資本項目の外貨業務審査許可件の形式をもってその企業の口座開設銀行に、規定金額を超えた部分に関しては海外に返すように通知する。

 例え、外資企業の投資総額と登録資本額の差(以下“投注差”と略称する)が1000万元であり、1200万元借入たとする。この場合、外貨管理局はその外資企業に1000万元の外債登録をしてくれ、余りの200万元については、商務局に投資総額および登録資本の変更手続きをするように要求し、商務局の許可を得てから、残りの200万について外債登記をしてくれる。

 国家外貨管理局が発表した「外債管理の関連問題を改善する通知」(〔2005〕74号)第2条第(二)項に、「政府部門が批准した投資総額と登録資本額が同じであるか、或いは投資総額が明確でない外資企業は、元の批准部門に再度投資総額および登録資本の査定を依頼し、それから“投注差”の管理規定に従い外債を借入なければならない。」と規定している。簡単にいえば、“投注差”がないか“投注差”が未確定の場合は、先に商務局で“投注差”を確定しなければならない。

 上記の文章から外資企業の投資総額は通常登録資本より高く、“投注差”は法的に海外から借入ができる金額であり、登録資本の額が異なるにつれ、投資総額と登録資本との比例も違うことがわかる。外資企業が“投注差”内で外債を借り入れる場合は上限を設けない。

 

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2012.3

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